卓上ロールプレイングゲーム(TRPG)の領域は,何十年にもわたり,あらゆる年齢層や背景を持つ自閉者にとって人気の趣味である.多くの自閉者は,ロールプレイングゲームを単なる趣味としてではなく,社会的なつながりやコミュニティの構築手段として活用している.TRPGが自閉者と密接に関連していることを考慮すれば,これまでの年月にわたり,自閉者の治療を専門とするセラピストや社会的スキルコーチが,TRPGを自閉者の若者や成人に社会的スキルを教えるための治療的手段として活用してきたことは驚くべきことではない.しかし,特に注意を払うべきは,基本的なレベルにおいて,自閉者が自閉症中心のコミュニティで成功するために必要な社会的スキルは,伝統的な非自閉症者(アリスティック)の社会的スキルカリキュラムで教えられる一般的な社会的スキルとは必ずしも一致しないという事実である.したがって,本論文は,教育的媒体としてTRPGを利用する自閉者の社会的スキルグループにおいて,全く新しい自閉者の社会的アドボカシースキルを教えることができると主張する.このことにより,自閉者は自身のコミュニティだけでなく,アリスティックなコミュニティでも成功することが可能になるのである.