
80年代から90年代にかけて日本で流行したゲームブックについてのエッセイである.読者が物語の結末を決定する選択をするという概念に革命を起こした『火吹山の魔法使い』(ジャクソン&リビングストン,1982,日本語版1984)がどのようにジャンルを確立したかを論じる.また,ゲームブックがカバーしてきた様々なジャンル,日本における「ゲームブック」という用語の定着,このインタラクティブな物語形式の文化的意義にも触れている.専門誌「ウォーロック」の創刊や,ゲームブックブーム後のテーブルトークRPGへの移行など、日本におけるゲームブックの盛衰にも考察している.