
テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム(TRPG)は物語を共創する体験を楽しむ遊びである.だが,遊んだ結果として楽しくないこともある.体験の品質を左右する要素のなかでも,ゲームマスター(GM)の役割が重要である.将棋など勝敗が明確な競技性ゲームに対して,共創性ゲームが「上手い」とはどう評価すればいいか.筆者は初心者からゲームデザイナー,公認GM評価まで多様な100人以上のGMのセッションを参与観察し,フォーマルな評価も筆者個人の経験も参考にし,自己エスノグラフィーの手法により,楽しさと要因を考察してきた.その気づきを「力量マップ」形式で提示する.プロフェッショナルGMだけでなく,深く濃くTRPGの楽しみを追求するアマチュアGMにも活用していただくことを期待する.