現在,日本において,ゲームの世界と現実の世界を交差させるようなゲームが広くプレイされている.そのうちのひとつが「リアル脱出ゲーム」である.本稿では,高校生等がいかにゲームと現実との重ね合わせを楽しむようなゲームを制作するのかという問いを立て,「物語」に着目しながら,高校生等が制作するゲームの特徴を集計・分析することを試みた.Salen and Zimmermanの「物語の遊びとしてのゲーム」で紹介している理論的枠組みをもとにそのゲームの特徴を分析したのち,「リアル脱出ゲーム甲子園」に応募された企画書における「物語」を,テキストマイニングによって集計・分析した.その結果,高校生等が,(1)「謎を解き,脱出する」という固定的な「ストーリーの出来事」を踏襲したり盗用したりしながら自身のゲームを生み出していること,(2)日常の現実世界を「架空世界」の視点から捉え直すことによって,ゲームの「架空世界」のためのリソースを見出していることが明らかになった.