本稿では,サイレントロールプレイングゲーム『Alice is Missing』が,マイノリティの表象やセンシティブなトピックに関する安全な空間の創出に焦点を当てたアクセシビリティフレームワークをどのように構築しているか,またその典型的な設定がもたらす限界を問い直すかを検討する.したがって,本研究では,多様なプレイヤーを受け入れるためにゲームが採用する手法や,安全性ツールがどのように感情的な体験を促進するかを通じて,アクセシビリティを考察する.本稿の分析は,ゲームそのものが提供する枠組み,すなわちテキスト交換を用いて行われる.本研究の目的は,プレイ中に得られた体験を再現するため,ゲーム内で提示されたテキスト対話構造を再構築することである.このアプローチは,対話主義を個別的現実の出会いと統合の場として捉える考え方に基づくものであり,また『Alice is Missing』の中心的な提案の一つ,すなわち各参加者の個性を尊重することを目指した協働的創造体験という理念にも根ざしている.