TRPGはストーリー性とゲーム性を併せ持つ遊びである.ストーリー性にはロールプレイ(役割演技)が関わる.ロールプレイを促進する仕組みをルールに取り入れたシステムが存在する.まず代表的なシステムを対象に経験点ルールの変遷を見ていく.そのうえで,過去に前例のないルールを採用した斬新さを理由に『忍術バトルRPG シノビガミ』を主要な研究対象とした.『忍術バトルRPG シノビガミ』の特長に,多様なプレイヤーのニーズに対応するPC選択の自由度,参加機会を公平にするシーン制,積極的に長所を見つけて評価する経験点ルールがある.複数の仕組みの中で,インセンティブ設計としてプレイヤーが互いに投票する「琴線に触れた」について調査し効用を考察した.2023年の販売数実績を一つの客観的証拠として,リピートユーザー創出に効果があると考えられる.多くのユーザーに遊ばれる定番の人気TRPGの1つになったと結論づけた.