
これまで自閉スペクトラム症(ASD)児を対象とするTRPGを用いた実践研究より,ASD児の会話が促進されることが報告されてきたが,会話促進におけるゲームマスター(GM)の役割については検討がなされていない。本研究では,ASD児4名を対象にGMのTRPG活動中の発言と参加児の発言の関係およびASD児が自発的かつ協調的に他児との会話を進めていくためのGMの有効な介入方法について,会話分析の手法などを用いて量的・質的に検討した。分析の結果から,GMが参加者の一人としてゲームを進めていくための有効な示唆を与えていることに参加児が気づきゲームを楽しむ形で会話促進がされており,SSTなどとのアプローチの違いなどが示唆された。