
約5,000人が参加するヨーロッパ最大級のLARPイベントである「ドラッヘンフェスト」では,「ソーシャルハラスメントサポートチーム」と呼ばれる「ソーシャルセーフティチーム(倫理問題対応チーム)」が導入された.これは,社会的に問題のある行動に対する社会的な認識が高まっており,LARPではそのような問題に対処するためのチームの需要が高まっていることから,重要な意味を持つようになった.また,「ドラッヘンフェスト」というユニークで挑戦的な環境は,社会的安全性に関する先行研究ではまだ説明されていないものを実装することが求められていた.
本稿では,ベストプラクティス(最良慣行)の例として,ソーシャルセーフティチームの実装を紹介する.そのようなチームをどのように結成するかの詳細と,それに付随する行動規範の書き方を示す.また,そのようなチームの作業の標準的な手順についても説明する.チームは見事に成功したが,実施の中で発生した教訓があり,本稿では,他のソーシャルセーフティチームの実施のためにそれらを提供するよう努力している.