要約
[0.1] 2000年頃から、「ノルディック・ラープ(Nordic Larp)」という考え方が世界中で発展してきている.「ノルディック・ラープ」とは,芸術的なヴィジョン,政治的なメッセージ,または教育的な目的を有する、高度で複雑なLARP経験を目指すフレームワークである.「ノルディック(Nordic)」という語に象徴されるように、元来は北欧に由来する考え方であるが,現在は南アメリカからシリアまで,世界各地で共通して適用しうる考え方になっている.
[0.2] 本稿では,「ノルディック・ラープ」の背景と基本的な説明に加え,主に成人向けのLARPの実践例に基づき,「娯楽+α」を目指すLARPのデザインや理論を紹介する.
[0.3] キーワード:LARP理論,学習効果,ノルディック・ラープ,教育LARP
Abstract
[0.4] The ideas of “Nordic Larp” are spreading throughout the world since the early 2000s. “Nordic Larp” refers to a framework that aims for cutting-edge larp experiences by employing artistic vision, political messages, or educational agendas. The descriptor of “Nordic” may have its origins in northern Europe, but today, larps following this framework are organized worldwide, from South America to Syria.
[0.5] Based on a larp example targeting adults, this article explains the background and basics of “Nordic Larp” to introduce the possibilities of larp that goes beyond just having fun.
[0.6] Keywords: Edu-larp, larp theory, learning effects, Nordic Larp
Note to English Readers
[0.7] This article owes much to Jaako Stenros’ “What Does ‘Nordic Larp’ Mean?” (2014). Readers who prefer English are advised to consult his paper.
1. はじめに
[1.1] LARP(発音:ラープ)は「ライブ・アクション・ロールプレイ」(Live Action Role-Play)の頭文字をとった略語で,キャラクターとして実際に動く実践,あるいは,イベントとして行われるそのような活動を意味している.「LARP」という用語は,英語でそのまま名詞として扱われており,Larping(ラーピング)という用語もある.日本語ではローマ字表記の「LARP」が用いられることが一般的になりつつあるため,本稿でも「LARP」という表記を使用する.
[1.2] 一般的に,LARPは「長時間・数日間かかるイベント」または「ただの娯楽」と思われがちである.しかし,海外でのLARPの事例を見ると,5分程度でできるミニ・ゲームのようなLARPも多くあり,また、社会問題や他者の視点についてプレイの中で学べる教育LARPも実施されている.本稿では,LARPの多種多様性を示すために,後者の政治的・社会問題的なテーマを扱う「ノルディック・ラープ」の可能性を考察したいと思う.LARP,そして「ノルディック・ラープ」の定義の難しさから始め,具体的な実施例に通じてLARPの可能性を明らかにするのが本稿の目的である.
2. LARPとは何か:世界中におけるLARPの展開
[2.1] LARPは,企業でのロールプレイング研修や「サイコドラマ(Psychodramaまたは心理劇)」に類似した活動であるが,トレーニングや治療ではなく,物語の共同創作や体験そのものに重点的に取り組むという点で違いがある.下記は体験型LARP普及団体CLOSSによるLARPの説明である.
[2.2] LARPでは,「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」「嗅覚」…… 『五感』で体感することで,仮想世界でありながら,リアルな世界が広がり,参加者全員が主体的に関わり,体験を作り上げる体験型の催しである.その開催イベント上,主催者が設定した状況に基づき,参加者にロールプレイングが求められている.状況の行方に対して,参加者が開催イベントの規則に基づき,影響を及ぼす事ができる(CLOSS 2017).
[2.3] 「LARP」において,参加者(プレイヤー)は演劇のように役(キャラクター)を演じるが,演劇とは異なり,台詞を示す脚本は存在しない.キャラクターには様々な特性(年齢,ジェンダー,種族等),能力,動機が設定されており,プレイヤーはそれらキャラクターの設定に基づいて即興で演技するとともに,ゲーム特有のチャレンジ(謎解きから戦闘まで)に直面し,そのプロセスで他のプレイヤーと共同で物語を作成する.
[2.4] 「ゲーム」を定義することが困難であるのと同様に,LARPを定義することは困難である.たとえ,すべてのLARPイベントを分析し,その結果に基づいて定義を作成したとしても,その直後に,その定義に合わないLARPが実践される可能性が非常に高いのである.LARPの変移性がポイントである.本稿の目的は,「ノルディック・ラープ」を事例として,LARPの定義よりも、その様々な可能性を明らかにすることである.LARPの主たる流れを例に,LARPの様相を確認した上で,「ノルディック・ラープ」について考察を進める.
[2.5] まずは,LARPの主たる流れについて確認しておきたい.世界中で実施されているLARPジャンルの主流はファンタジーとSFであり,プレイヤーは単純な娯楽目的でそれらのLARPイベントに参加している.欧州で行われているLARPの主流はファンタジー系のLARPであるが,これがどのようなものであるかは,TRPG(「ソードワールド」,「クトゥルフ神話TRPG」等)を知る者であれば想像に難くないだろう.ファンタジー系LARPにおいて,プレイヤーはオーク,エルフ,騎士,魔法使いのような衣装を着て数日間,キャンプをしたり,戦闘をしたりして過ごす.小説『指輪物語』(または映画『ロード・オブ・ザ・リング』)のようなファンタジー感あふれる世界での日常生活を体感するようなイベントである。ドイツ大規模のLARPイベント―夏季に実施されるの「壮大なる帝国(Epic Empires)」,「コンクエスト(ConQuest)」,「ドラゴン大会(Drachenfest)」は約1週間のイベントで,参加者は4,000~8,500である.数千人単位のメガ・イベントから,参加者15人で行われる3時間程度のイベントまでその規模は様々である.またその内容として扱われるLARPも,戦闘が中心となるLARPから,まったく戦闘シーンがないLARPまでいくつかの種類がある.日本初のLARP団体「レイムーン」(埼玉県入間市)のイベントにおいても,主に扱われているのは,ファンタジー系LARPまたはホラー系LARPである.なお本団体がイベントを行う場所は野外宿泊のできる施設などではなく,公民館などの公共施設である(雛咲 2019; Kamm 2019).これら主流となるLARPの他にも,LARPには多くの可能性がある.ゲームデザイン,プレイヤー・キャラクター間の関係性,およびプレイヤーの心理的安全性に関する知見が蓄積され,その面での進化が見られるLARPの有名な事例として,本稿で取り上げる「ノルディック・ラープ」の考え方およびフレームワークを挙げることができる.
3. 「Nordic Larp」とは何か:その定義の問題について
[3.1] LARPそのものは,娯楽活動として1990年代に登場したが,2000年代後半以降,政治や芸術,教育の文脈において実施されるLARPが特にヨーロッパで増加する傾向にある.例えば、ドイツの主催者が宣伝のためにイベントを登録できる「LARPカレンダー(LarpKalender)」で、教育LARPを実施する森の騎士の団体によるイベントは過去10年で乗ずった(現在は、年に100+イベントを行う).1 そのような潮流の中で,芸術的なヴィジョンや政治的なメッセージ,教育的な目的などを有した「ノルディック・ラープ」が,2004年頃から盛んに実施されるようになった.「ノルディック・ラープ」は,「ノルディック」という語に示されるように元来,北欧に由来するが,現在は南アメリカからシリアまで適用されうるLARPのフレームワークおよびスタイルになっている(Stenros 2014).毎年,北欧では「クヌーデプンクト(Knudepunkt;交差点、接合点)」という大規模なLARPカンファレンスが開催されており、50カ国以上から,約500人ものLARP主催者,LARPデザイナー,芸術家,脚本家,研究者やプレイヤーが集まる.本カンファレンスでは,LARPに関する口頭発表や研究ワークショップだけでなく,LARPの実践も行われる.
[3.2] 北欧諸言語の中でノルウェー語,スウェーデン語とデンマーク語は同じ語族に属するが,フィンランド語は別の語族に属するため,1997年に最初のクヌーデプンクトが開催された当初から,本カンファレンスで使われる言語は英語であった.それゆえに,LARPに関する論文集や,学術的なジャーナルはすべて英語で出版されている.
[3.3] 2010年代前半まで,北欧のLARPデザイナーとって,どのLARPが「ノルディック・ラープ」であるか,あるいはそうでないかを判別することは、そのLARPを実際に見たり,参加したりするだけでも十分に可能であった.しかし,世界各地の様々な場所で,多種多様な主催者によってイベントが開催されるようになり,「ノルディック・ラープ」はますます進化しており,その判別は困難になりつつある.それゆえ,LARP理論家ステンロス氏が述べるように,「ノルディック・ラープ」は「レシピ」ではない.単に,「没入感(immersion)をひとかけら,政府の助成金2つと感動のしぶきを,WYSIWYG環境(見たとおりのものが結果に反映される環境)に溶け込ませたら、出来上がり!」といったような指示に従えばできるというものではないのである.ここで問題になるのは,「ノルディック・ラープ」が何であるかを決定するための客観的な方法がないということである(Stenros 2014:147).
[3.4] 「ノルディック・ラープ」という言葉は,その名の下で行われている全てのゲームを説明するのに最善ではない.この用語は長い間議論され,その他,それより適切な言葉が検討された.例えば,「アートハウスLARP (arthaus larp)」「芸術的LARP (artistic larp)」「実験的LARP (experimental larp)」「北欧スタイルLARP (Nordic-style larp)」「スカンジナビア・スタイル (Scandinavian style)」「クヌーデプンクトLARP (Knudepunkt larp」「自由型LARP (freeform larp)」等の語が議論された.「インドラマ (indrama)」や「インタラクティブな即興劇(interactive improv)」のような用語も議論の中に登場した.しかし,依然として残っている名称は,「ノルディック・ラープ」だけであった.「ノルディック・ラープ」は,「北欧(Nordic)」と「ラープ(LARP)」という二つの要素を有する.LARP研究をリードしてきたルドロジー(ludology;ゲーム学研究)研究者のステンロス氏は,「北欧」と「LARP」という語を歴史的視点から分析し,その歴史的ルールに対して疑問を呈した上で,「ノルディック・ラープ」を「伝統(tradition)」として解釈すべきだと述べている.ステンロス氏による「ノルディック・ラープ」の定義は,下記のとおりである.
[3.5] 「ノルディック・ラープ」の伝統の影響を受けたLARP,または進行中の「ノルディック・ラープ」の言説に寄与するLARP (Stenros 2014:150).
[3.6] 「ノルディック・ラープ」の言説の中で,多くの人々に合意が得られ,または歴史的に重視されてきたアイディアのひとつに,「360度の錯覚 (360 degree illusion)」というLARPデザインの理想に関する考え方がある.その理想は,見たとおりのままの状況が結果に反映されることである.すなわち,象徴的な小道具がなく,プレイヤーは環境内を自由に動くことができるということである.また,ロールプレイング(役割演技)を継続できることも重要である.「あなた(=プレイヤー)」はキャラクターと完全に一体化するわけではないが,LARP中ずっとキャラクターになりきって考え、行動することができる.キャラクターになりきる体験のための専門用語は英語でimmersionであり,日本語にすると没入感が近く,特にビデオゲーム研究でも流行している概念である.LARPにおける没入感とは,プレイヤーの考え方,プレイヤーの目的をキャラクターの考え方と目的に変えるということである(Lukka 2014).さらに,「360度の錯覚」と没入感の他,身体性も重視されている.米国のLARPで一般的なルールとして存在している「ノータッチ」ルールは,「ノルディック・ラープ」には存在しない.このようなLARPでは,親密さから対立まで,すべての関係性がそのままプレイに活かされている.キャラクター同士の関係性と「360度の錯覚」と結びついているのは,「テーマ的な一貫性(thematic coherence)」である.重要なテーマやプレイヤーとの関係性を強く重視するLARPはこの伝統に従う.このようなLARPの具体例としては,愛情,アフガニスタンでの戦争,または人間らしさの喪失をテーマにしたものが挙げられる.
[3.7] 基本的に「ノルディック・ラープ」と,趣味の一環として行われる娯楽LARPとの違いは,目的指向性である.「ノルディック・ラープ」には到達したい目的があり,LARPに参加することはそのための手段である.Apterによる「リバーサル理論」の枠組みを用いて言い換えれば,このようなLARPのモードは「テリック(目的志向)」であるといえる(Apter 1991).2 「ノルディック・ラープ」において設定される目的は,基本的に,①芸術的な・審美的なヴィジョン,②政治的なメッセージ,③教育的な目的の3種類に分けられる.しかし,これら3つは相互に排他的な目的ではなく,主に重視するものの違いを示すものに過ぎない.例えば,政治的な目的もあるが,同時に,審美的な経験にフォーカスを置くような「ノルディック・ラープ」もある.
[3.8] ①芸術的な・審美的なヴィジョンという目的の例は,世界中で最も有名なヒット作となったLARP『魔法の大学(College of Wizardry)』(以下,CoWと略記)を挙げることができる.『ハリー・ポッター(Harry Potter)』にインスピレーションを受け,2014年から年に4回,ポーランドにある城で行われているイベントである.「魔法大学」のような環境の中で,参加者は,学生,教員,幽霊をはじめとした,ファンタジー世界のキャラクターを演じ,3日間のイベント期間中,授業に出席したり,魔物を呼び出す儀式を行ったり,魔法決闘で戦ったりすることで,他では得難い経験を得ながら,物語を共同作成する.プレイヤーは全世界から集うので,たくさんの国のLARPスタイルを寄せ集めることがCoWの目的のひとつである.その上,別のLARPで良く使われているNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター,すなわち手伝い役,敵役)はCoWに存在せず,参加者は全員プレイヤーであり,皆の即興で素晴らしい物語を作るのがCoWの芸術的なヴィジョンである.
[3.9] 次に,②政治的なLARPについて述べる.政治的なLARPをデザインするデザイナーの中には,率直なメッセージを伝えたい者ももちろん存在するが,ほとんどの政治的なLARPの目的は,参加者に政治的問題について考えさせることである.例えば,2016年のLARPカンファレンスで難民の経験を背景にした『M/S クリスティーナ(M/S Kristina)』というLARPが行われた.LARPでの経験は,もちろん,実在の難民の経験とは異なるが,参加者はLARPを通して難民問題について考える機会を持つことができた.SFを取り上げた「ノルディック・ラープ」として,政治的なLARPが行われた事例もある.スウェーデンの『セレストラ・モニター(Monitor Celestra)』はテレビドラマ『GALACTICA/ギャラクティカ(原題:Battle Star Galactica)』の改訂版を背景となる舞台設定にし,本物の軍船で人間とサイロン(ロボット),そして軍隊と民間人との葛藤を語るLARPである.また、『包囲の状態 (Halat Hisar)』はフィンランドとパレスチナのLARPデザイナーの協働プロジェクトであり,占領下の環境での葛藤をテーマにしたイベントである.このLARPは2017年に開設されたフィンランド・ゲーム・ミュジアムでも展示されており,政府から援助も受けているLARPの事例のひとつでもある.
[3.10] ある意味で,「テリック」型ともいれるこれらのLARPはすべて参加者が学習効果を得ることを目指しているが,③教育LARPの場合,そのような目的がより明白である.授業の中で,ゲームやロールプレイなどを学習手段として用いることはそれほど新しいわけではないが,この種のLARPでは,全体的なアプローチが用いられることが,その特徴である.例えば,デンマークの全寮制私立学校「オェステアスコフ青少年学校(Østerskov Efterskole)」を例に挙げると,この学校では,在学期間全体がLARPになる.「青少年学校(Efterskole; エフタースコーレ)」は,15~17歳の青少年が通う全寮制の私立学校である.生徒たちは,在学期間となる3年間,LARPとしてデザインされた教育を経験するのである.他の教育LARPの例としては,ドイツの若者支援NPO法人「エロダン・クリエイティブワークス(Ellodan Creative Works)」(以下,ECWと略記)の活動を上げることができる.ECWでは,毎年夏に,200人程度の参加者を集め,1週間のサマー・キャンプLARPを行っている.ドイツにおいて,青少年が,夏休み期間中,サマー・キャンプに参加することは一般的なことであるが,このキャンプでは『指輪物語』のような舞台設定があり,13歳から20歳の参加者はエルフ,戦士,スカウト,魔法使いなどの役を演じながら,森の中での適切な行動,チームワーク,交渉術などを学ぶ.たとえ相手が一見怖く見えるような外見であったとしても,すぐ戦うのではなく,まずは話してみることが重要である,というメッセージがこのLARPの学習内容のひとつである.青少年が野外で遊ぶことは,その両親や保護者にとっても望ましいことであり,サマー・キャンプLARPへの参加者数は,毎年増加傾向にある.アスペルガー症候群の子どもたちをはじめとした,多様な子どもたちに参加してもらい,インクルージョンの理念を達成することもこの活動において重要な部分であり,ドイツ内には同様のプロジェクトが複数存在している.教育LARPの主な提供者は,「森の騎士(Waldritter,ヴァルドリッター)」というNPO法人である.3 例えば、スウェーデンの『セレストラ・モニター(Monitor Celestra)』(前述)というLARPを教育バージョンに翻訳し,ドイツの政府の予算で戦艦を借りて,『GALACTICA/ギャラクティカ(Battle Star Galactica)』の舞台設定で交渉術をトレーニングするためのLARPを行なった.
[3.11] 学習を実現するためにはLARPに参加することのみでは十分でないことは,LARPの理論家とデザイナーの双方が肯定している(Lukka 2014; Müller 2017).したがって,「ノルディック・ラープ」のもう一つの特徴は,事前・事後に行われるワークショップである.基本的に,ワークショップのないLARPはほとんど「パラテリック(目的指向でない)」(Apter 1991)な,娯楽のためのイベントである.「ノルディック・ラープ」の事前ワークショップの目的は「透明性」の確保である。参加者はこのLARPにおいて何を期待するべきかを明らかにすることになる.このワークショップでは,ゲームの流れや精神的な安全性のための方策も説明する.また,ゲームの後で,参加者は意見交換ができ,精神的なサポートを得,そして学習で指導をうけられるために事後のワークショップが非常に大切だと思われている(ディブリーフィング).
[3.12] これ以外に,「ノルディック・ラープ」のフレームワークに従って行われているイベントの主な共通点は次のとおりである.先ず,キャラクターまたは世界観への没入感が大切にされ,プレイヤーがそのキャラクターになりきるためのハードルを下げることが,重要なデザイン原理となる.さらにデザイン論の視点で言えば,「ノルディック・ラープ」では競争よりも協力,特に物語の共同創作(co-creation)を目指している.最後に,このようなLARPはルールが少ない上,戦闘よりも社会的な作用のためのルールが一般である.そのようなルール例として,「愛の芸術 (Ars Amandi)」(Hall 2016)という方法が挙げられるだろう.これは,LARPで使用されている性交や親密な触れ合いを表現する方法で,セクシャリティ,ジェンダーをはじめ、社会的な作用にフォーカスをおくために用いられるものである.例えば,腕を全身体のシンボルとして用いる場合,他のプレイヤーの上腕を触ることで,そのプレイヤーの胸を触ったという扱いになる.「ノルディック・ラープ」のデザイン論では,そのようなツールが多様に発展しており,LARPのデザインと理論に関しての概念も多数存在する.
[3.13] 上記のような要素を共有するLARPの伝統またはフレームワークが,ある意味でブランド化したのだとステンロス氏は述べている.そのブランド・メッセージとは、下記のようなものと考えられる(Stenros 2014:151):
[3.14] LARPを,議論や分析,継続的な実験に値する有効な表現形態として見なす,クヌーデプンクトから現れた伝統である.テーマの一貫性,継続的な錯覚,行動と没入感を一般的に重視し,共同創造的であることと,その生産を非商業的に行うことを遵守する.ワークショップやディブリーフィングが一般的である.
4. ノルディック・ラープの実践報告 (『安心からの脱出』)
[4.1] 「ノルディック・ラープ」の実践例については,本稿のゲーム目録(Ludography)を参照してほしい.上記で説明したCoW,『Halat Hisar』等の他,『KAPO』(監禁環境での社会抗争),『Delirium』(精神病院での愛情と狂気),『Fairweather Manor』(19世紀イギリス階級社会での日常生活・抗争)やそのLARPについてのドキュメンタリーをリスト化している.これらのLARPのテーマは大きく異なるが,参加者に対し,娯楽として意味ある経験の場を提供するという目的は共通している.
[4.2] 意味のある経験をデザインするという面からデザインされた「ノルディック・ラープ」の事例として,共同研究者である加藤浩平(東京学芸大学)と一緒にデザインした『安心からの脱出』を挙げたい(カム 2017; Kamm 2017).本LARPは,筆者が行った「ひきこもり」のステレオタイプについての研究結果を,第三者が体験できる形に翻訳するための試みである.ひきこもり経験者13名とのインタビューから,ひきこもり当事者への個人的なサポートももちろん大切ではあるが,それよりも社会全体のレベルで「人生とは何か」について議論することがが必要であるとの結果が明らかとなった.ひきこもりは多種多様であるが,現象の理解に関しては,ステレオタイプ的なものにとどまっていると言える.一般の人々がひきこもりの生活世界を少しだけ体験し,ひきこもりへの期待を疑問視しつつ,当事者への共感を増やすことが『安心からの脱出』の目的である.本LARPは,経験者との話し合いに基づいてデザインしたものなので,ひきこもりの人々による自己表現の場とも捉えうるが,同時に,LARPに参加することで広範囲にわたる人々の理解を高めることができるという潜在的な利点がある.
[4.3] このような活動の基本問題はすでに関心のある者にしか参加してもらえない事である.前述した,難民たちの苦難の体験を取り上げたLARP『M/S Kristina』は2016年のクヌーデプンクト大会で実施されたが,ほとんどの参加者はすでに難民問題に関心がある人々だった.このような普及率の問題を解決するために,「ひきこもりLARP」以外の別名を著者のLARPにつけることにした.それが『安心からの脱出』である.「安心」という用語よりも「安寧」または「安定」「日常」といった用語の方がよりふさわしいかどうかを検討していたところ,ひきこもり経験者より「安心からの脱出」という言葉は部屋の中のパラドックス的な状況を映し出しているという発言があった.ひきこもり経験者の中には,比較的快適な自宅の空間にいるにも関わらず,親からプレッシャーや,自分自身が抱く働くことに対する思念のために,この空間の快適さを素直に楽しむことができなくなるというジレンマについて語る者が多かった.
[4.4] TRPGと同じく,LARPは,シナリオのかたちで提供されていることが多い.シナリオというのは,ゲームの物語上の背景,場所やその時空間での出来事またはチャレンジを決定する枠である.本LARPの3つのシナリオは英語のタイトル『Village, Shelter, Comfort』の由来にもなっており,もう一つのデザイン課題を解決するために作成された.全てのシナリオは上記のジレンマを探っている.それは,現状の生活世界は弊害を伴っている状態だが,同時にそれは慣れ親しんだ世界でもあり,別世界へ出るのにも弊害をともなうという,ある形のひきこもりのジレンマの一形態である.プレイの前に長い説明がいらないように,またはひきこもりを研究していない主催者がこのLARPを実施できるために,最初の2つのシナリオは第3シナリオの準備であり,参加者をだんだんジレンマに慣れさせる機能を持っている.LARP開始時に,いきなり「ひきこもりの当事者を演じてください」と求めても,参加者はプレイをしにくいと思われる.情報提供に関して,本LARPは「透明度(transparancy)」が高い.4 筆者は,本LARPの運営者として,事前ワークショップの中で,研究背景や,研究とLARPをめぐる主要なコンテクスト,ゲームの進め方などをプレイヤーに伝える.しかし,ここでは,ゲームそのものの具体的な流れは明らかにしておらず,そのため,プレイヤーがゲーム中に起こることに驚くこともある.
[4.5] 安心からの脱出ゲーム」では,三つのシナリオごとにセッティングを異なるものにしているが,各シナリオごとに参加者は同じ判断をする必要がある.それは「大好きな環境から,おびやかされて逃げるか,それともおびやかされても残るか」という判断である.現在の生活世界は弊害をともなうが,それは慣れ親しんだ世界で,別世界へ出るのも弊害をともなうというある形のひきこもりのジレンマを体験できるようにする試みである.シナリオ1と2は,主幕となるシナリオ3のパラレル・シナリオであり,参加者を段階的にジレンマに慣れさせる機能を持っている.ゲームのスタートの時に急発進し,突然参加者に「ひきこもりを演じてください」と求めても,参加者がよりキャラクターになりきりにくくなることが難可能性が高い.そのため少しずつ異なった3つのシナリオをデザインし,それがだんだん現在の現実に近づいていくようなデザインを行った(LARPの概要に関して,図1参照).
図1: 『安心からの脱出』概要.
[4.6] シナリオ1(「村」)は基本的に外界とは交流がなく,都市の喧騒を嫌い,隔離されたところにある村である.この村は素晴らしいところだと村人たちは思っていたが,急に致命的な病気に直面しなければならない.
[4.7] シナリオ2(「シェルター」)は大戦争の後の世界で,生き残った人々は地下のシェルターに避難し,新しい社会を作った.安全だが,厳しい生活になる(食糧配給制度,一人っ子政策などが実施中であり,軽犯罪でも死刑になる法律).食糧の不足が明らかになることがこのシナリオの出発点である.
[4.8] 最後のシナリオは現在の一部屋,その中に住んでいる一人である.インターネットと親のサポートのお陰で外に出る必要はない.しかし,そのサポートが急になくなってしまい,本人がこれからの道を決定しなければならないという状況に置かれる.
[4.9] 重要なのは,このLARPの課題が上記の問題の正しい解決策を見つけることではないという点にある.目的は,参加者に,そのジレンマを体験させ,それについて考えさせることである.最後のシナリオで,部屋から出るか,あるいは残るかについての判断が引き分けにならないように,参加者を奇数にする必要がある.少なくて3人,多くて7人に設定する.人数がそれより多くなると,決定までの議論の演出が時間的に難しくなる.TRPGと同じくLARPでは,その人自身としてゲームに参加するのではなく,キャラクターとしてゲームに参加する.そのキャラクターはプレイヤーと違う目的,背景,人格があり,プレイヤーはその人格などに基づいて判断し,キャラクターを演じる.シナリオ1では,参加者はその村の長たちになり,シナリオ2では,シェルターの評議会のメンバーである.最後のシナリオでは,プレイヤーはそれぞれ擬人化された感情・知識的能力になり,その一部屋にいる一人の頭の中で生じる内的な葛藤・独白を演じる.
[4.10] 主催者が準備した基本設定では,プレイヤーと全く違うキャラクターになることも,ある程度「薄いキャラクター」,すなわち自分に近いキャラクターも可能にしている.部屋に残るか,あるいは出るかに関する方向性や,の他のキャラクターとの関係性(好き嫌いとか)についても,詳細に設定しているわけではないため,プレイヤーは即興でキャラクターを作成する.具体的には,LARP本番の前に「自己紹介散歩」という活動を行う。「自己紹介散歩」とは,散歩をしているようにプレイヤーが部屋で歩き,他のプレイヤーと出会った際に,キャラクターの自己紹介をし,出会ったプレイヤーのキャラクターとの関係性について一言を言うミニゲームである.その活動の即興で作られた関係性に基づいて,本番をプレイする.ルールとテクニックの面では,本LARPも軽い傾向にある.安全性のためのコマンドの上,5 「しゃべったことが(物語上の)事実になる」という社会的即興演技的なルールしかない.ゲームマスターが各シナリオと各シーンの前に,状況をプレイヤーに説明するが,その状況の上プレイヤーは自由に行動しても良い.本LARPのデザイン・ドキュメントでは,本LARPにおける設定とルールについての詳細が書いてある.6
[4.11] 各回のLARP実践の後,即座に,参加者がそのときの反応を声に出し,それに基づいてLARPでの経験について議論する場を設ける.時間に余裕があれば,より長い時間をとってグループ・インタビューを行ったり,個人インタビューを行ったりする.『安心から脱出』の目的はブリードである.ブリード(bleed),日本語で流出,はプレイヤーとキャラクターの間の知識的または感情的な転移である(Bowman 2015).このLARPを通して提供される経験は,ある「ひきこもり」当事者が面している可能性があるジレンマを垣間見ることであるので,社会からひきこもり,部屋(家)に閉じ籠もることは「本当に」どのようなことかプレイヤーは完全に学べない.それに関わらず,目的は,「ひきこもり」について考えさせられるということである.この目的のために,すべてのシナリオははっきりした決議または結末を提供しない.そのため,結末に向けて展開するような物語を指向するLARPのスタイルになれている参加者の一人は,本LARPにおいて結末が提供されないことに関して強い不満を表明した.LARP直後のディスカッションでも,のちのフォーマルなインタビューでも,この参加者は,結末の不足によって,LARPでの経験について長期間考えさせられたことを強調していた.
[4.12] ブリードという現象と関連して重要な点として,本LARPにおいて,ほとんどのプレイヤーの反応の中に,「循環性」が登場した点を挙げることができる.すべてのプレイヤーが,何がもっともよい行動の指針であるかを決められないので,繰り返してそれについて考え,結局に決定できないということに共感していた.しかしこれは,ひきこもり当事者に特有のことではなく,参加者たちの日常においてもよく起こることである.このような相互関係を理解することで,「普通」とは何かを再考する機会にもなる.プレイヤーからの反応では,総じて,変化に対する欲求と変化しないことへの要求との間で板挟みとなっている,あるひきこもりのジレンマを垣間見ることができたという感想が多かった.多くの人々が声に出したもう一つの発見は,そもそも行動することから逃げることであった.例えば,シナリオ3における親は,特定の時点で消えるが,大部分のプレイグループのプレイヤーたちは,この問題に直面する代わりに,ネットサーフィンをしたり,チャットすることに,没頭した.これについて,インタビューに回答したひきもり経験者の中には,このような行動の背景として,難しい決定に対処するよりも,テレビゲームに挑戦(そして,それをクリア)したり,メディアを見たりすることの方が容易いということがあると説明する者が存在していた.ひきこもり経験者がこのような説明をすることはインタビューにより明らかになっていたものの,本LARPのプレイの中でも「明らかな」問題との関わりを避ける行動が生じたことは驚くべき事実である.
5. おわりに
[5.1] 「ノルディック・ラープ」はLARPそのものと同じく多種多様であり,定義することは困難であるので、ひとつの例として,筆者らによって開発されたLARPの実施例を挙げることとした.より抽象的かつメタ的な視点で見てみると,LARPを理解するためには,LARPの定義について議論するよりも,哲学者・ヴィトゲンシュタイン(Wittgenstein)による「家族的類似(Familienähnlichkeit)」という考え方に基づいてLARPを理解することが有用であろう.すなわち,「LARP」と呼ばれている全ての外延(対象)を特徴づけるような共通の内包(意義)は存在せず,「LARP」とは,実際には「キャラクターとして動く」,「別世界を経験する」などの部分的に共通する特徴によって全体が緩くつながる集合体なのである.ヴィトゲンシュタインは,そのような部分的共通性によってつながりあう集合体を「家族的類似」と名付けた(Wittgenstein 1953=2009).筆者は,このアイディアに基づけば,「LARP」という言葉を,コンセプト・概念ではなく,様々な実践と活動を結ぶハイパーリンクと捉えることができる.7「今,LARPをやっている」という意識が定義よりも重要であり,その意識そのものが,特定のLARP実践と,別の場所で行われる実践との関係性を生み出す.パラテリックなファンタジー系のLARPが主流であり,それだけで参加者に素晴らしい経験を与えている.上記に挙げた実施例の『安心からの脱出』は重いテーマに触れているが,LARPそのものが印象的な経験にもなり,「またやりたい」という感想を残した初心者も多かった.「娯楽+α」,すなわちプレイヤーが楽しみながら,何か学べるまたは何かについて考えさせることが「ノルディック・ラープ」のフレームワークで実施されたゲームの目的である.
[5.2] LARPに関する第一線の理論家であり、クヌーデンプンクトの主催者でもあるコルヨネン氏は,2019年度の同大会でのLARP理論と実践の未来についての発表を,「Can larp change the world? – No.」(LARPにはこの世を変える力があるのか? – いいえ,ない.)という失望的な発言で始めた(Koljonen 2019).現在,政治的なメッセージを普及しようとするLARPや学習効果を目指す教育LARPが増えている傾向にある.コルヨネン氏は,そのようなLARPの効果に関してあまりにも高い期待があることに対して警告をしている.主な問題点はリーチ(普及範囲)である.LARPに20人が参加する場合,そのLARPのリーチはその20人まででしかない.LARPによって,その20人が抱いていた特定のテーマに関する意識を高めるとしたらそれは素晴らしいことではあるが,それによって世界が変わるというわけではない.コルヨネン氏は,例として,2015年に行われた,バルト海の富栄養化を問題化したゾンビLARP『バルト戦士(Baltic Warriors)』を挙げた.バルト地方の政治家が何人参加しても,その後に来る民主主義的なプロセスの中で,そのLARPがどのぐらい効果したかを示すことは難しい.
[5.3] この指摘は「ノルディック・ラープ」の意義に対して辛辣な判断を行っている.しかし,「教育目的でLARPを行うこと自体に意味がない」といっているわけではない.一つのLARPの実施によって世界を変えられるわけではないことを自覚し,活動のリーチや対象オーディエンス(一般人,政治家等)の分析に基づき,教育LARPや「ノルディック・ラープ」を行えば良いのだ,とコルヨネン氏は強調した.言い換えると,地域のオピニオン・リーダーを対象にすれば,LARPのリーチを高めることも可能であろう.しかし一方で,たった一人のプレイヤーであっても,そのプレイヤーを考えさせることで彼/彼女の世界を変えることもできるであろう.それは「ノルディック・ラープ」,すなわち,芸術・政治的な的教育LARPの力である.
[5.4] 『安心からの脱出』が,ひきこもりの生活世界をわずかに垣間見せてきたのと同じく,本稿は「ノルディック・ラープ」の最も単純な入門的な紹介に過ぎない.それゆえに,本稿を読んで「ノルディック・ラープ」に関心を持った読者には,「ノルディック・ラープ」のホームページ(nordiclarp.org)にある様々な記事とクヌーデプンクト大会の論文集を読むことを薦めたい.8
6. 謝辞
[6.1] 本稿の作成にあたって、日本語のネイティブチェックをしてくれた加藤小百合氏に深謝する.
注
詳しくは,www.larpkalender.deとwww.waldritter.orgを参照.↩︎
反対はパラテリック,すなわち,外部目的のない活動である.↩︎
LARPシナリオの作成には様々なデザイン上の選択肢がある.情報提供,誰がキャラクターを作成するか(主催者またはプレイヤー),ルールが多いか少ないか,小道具にリアリズム等はその例である.例えば,本LARPと違って,謎解きがプレイヤーの課題になるファンタジー系冒険LARPでは,「透明度」が比較的に低い.その様々なチョイスを明らかにするのは「LARPデザインの調整卓(The Mixing Desk of Larp)」である(Stenros et al. 2016).その一部の日本語訳はCLOSSのウェブサイトでアクセスできる(星屑・CLOSS 2018).↩︎
プレイヤーは「今,起こっている状況が,自分にとっては耐えられない」と感じるならば,プレイを中止するためのセーフ・ワード(Fatland 2013).その詳しい使い方は,本LARPのデザイン・ドキュメントを参照.↩︎
無料ダウンロードは下記のリンクから可能:www.b-ok.de/vsc_larp.↩︎
筆者のヴィトゲンシュタインに基づいたLARP理論の詳しい説明は,2020年に出版予定である著書の基礎である(Kamm forth.).↩︎
nordiclarp.org/wiki/Knudepunkt-books (2019年8月20日取得).↩︎
参考文献
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CLOSS. 2017. 「LARPの定義と安全憲章」『体験型LARP普及団体CLOSS』(2019年8月20日取得,https://closs.larp.jp/jls/).
Fatland, Eirik. 2013. ‘Notes on Kutt, Brems and Emotional Safety’. The Larpwright. http://larpwright.efatland.com/?p=339 (accessed 2019/8/31).
Hall, Jason. 2016. ‘The Ars Amandi Method’. Ars amandi. http://www.ars-amandi.se/resources/the-ars-amandi-method/ (accessed 2019/8/31).
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星屑・CLOSS. 2018. 「日本LARPゲーム団体用フェーダー」『体験型LARP普及団体CLOSS』 (2019年8月20日取得,https://closs.larp.jp/c2018129/.
Kamm, Björn-Ole. 2017. ‘Translating Research into Larp: Village, Shelter, Comfort’. In LARP: Silberhochzeit. Aufsatzsammlung zum MittelPunkt 2017, edited by Rafael Bienia and Gerke Schlickmann, 31–60. Braunschweig: Zauberfeder Verlag.
———. 2019. ‘Adapting Live-Action Role-Play in Japan — How German “Roots” Do Not Destine Japanese “Routes”’. Replaying Japan, no. 1: 64–78. http://hdl.handle.net/10367/11682.
———. forth. Role-Playing Games of Japan: Transcultural Dynamics and Orderings. London, New York: Palgrave MacMillan
カムビョーン=オーレ. 2017.「芸術・政治的な教育ラープ(LARP)と‘ブリード’」井門正美・山田晋 編『社会システムゲーミング』JASAG, 32–40.
Koljonen, Johanna. 2019. ‘On Larp Design: The Next Frontiers of Theory and Practice’. presented at Knudepunkt 2019, Vejen, Denmark. https://knudepunkt.org/programme/on-larp-design-the-next-frontiers-of-theory-and-practice/.
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ゲーム目録
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Schønemann Andreasen, Peter; Harder, Sanne; Heebøll-Christensen, Jesper, et al. 2010. Delirium. Larp. Tinghallen, Denmark. Website: nordiclarp.org/wiki/Delirium.
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