Fujibayashi Keiichirō. 2024. “Yoi rōrupurei o sokushin suru keiken-ten rūru no shikumi: 'Ninjutsu batoru RPG shinobigami' no `kinsen ni fureta' kōseki-ten no kōsatsu” [Experience Point Rules to Promote Good Roleplay: A Look at the "Touched the Heartstrings" Achievement Points in 'Shinobigami, a Ninja Battle RPG']. Japanese Journal of Analog Role-Playing Game Studies, 5: 89j-104j.
引用方法:藤林 啓一郎. 2024. 「よいロールプレイを促進する経験点ルールの仕組み: 『忍術バトルRPG シノビガミ』の「琴線に触れた」功績点の考察」『RPG学研究』5号: 89j-104j.
DOI: 10.14989/jarps_5_89j[0.1] TRPGはストーリー性とゲーム性を併せ持つ遊びである.ストーリー性にはロールプレイ(役割演技)が関わる.ロールプレイを促進する仕組みをルールに取り入れたシステムが存在する.まず代表的なシステムを対象に経験点ルールの変遷を見ていく.そのうえで,過去に前例のないルールを採用した斬新さを理由に『忍術バトルRPG シノビガミ』を主要な研究対象とした.『忍術バトルRPG シノビガミ』の特長に,多様なプレイヤーのニーズに対応するPC選択の自由度,参加機会を公平にするシーン制,積極的に長所を見つけて評価する経験点ルールがある.複数の仕組みの中で,インセンティブ設計としてプレイヤーが互いに投票する「琴線に触れた」について調査し効用を考察した.2023年の販売数実績を一つの客観的証拠として,リピートユーザー創出に効果があると考えられる.多くのユーザーに遊ばれる定番の人気TRPGの1つになったと結論づけた.
[0.2] キーワード:TRPG,ロールプレイ,没入感,経験点,琴線,公平,承認欲求
[0.3] Table-talk Role-Playing Games (TRPGs) combine both storytelling and gameplay elements. Storytelling involves role-playing (acting in character), and some systems incorporate rules that encourage role-playing. This paper begins by reviewing the evolution of experience point systems in representative TRPG systems. Shinobigami, a ninja battle RPG, was selected as the primary research subject due to its innovative implementation of unprecedented rules. The key features of Shinobigami include a high degree of freedom in PC (player character) selection to meet diverse player needs, a scene system that ensures fair participation opportunities, and an experience point system that actively identifies and rewards positive traits. Among the various mechanics, this study investigates the effectiveness of the “Touched the Heartstrings” rule, where players vote for each other as part of the design of incentives. Based on the 2023 sales figures, Shinobigami appears effective in binding its users, suggesting that the game has become a popular and classic TRPG many players enjoy.
[0.4] Keywords: TRPG, role-play, immersion, experience points, heartstrings, fairness, need for approval
[1.1] テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム(TRPG)は物語を共創する体験を楽しむ遊びである.日本にTRPGを普及させた第一人者である安田はTRPGの本質を「RPGはストーリーとゲームの融合したホビーである」と述べている (安田 2020).カイヨワ (1990) による遊びの4分類と照合すると,TRPGのゲーム性は「アゴン(競争)」「アレア(運)」に対応し,ストーリー性は「ミミクリ(模擬)」「イリンクス(眩暈)」に対応すると考えられる.なかでも「ミミクリ」は「ロールプレイ」に類似する.カイヨワが研究した当時は4分類それぞれを別の遊びと捉えたが,1974年に誕生し,1990年代以降に多様化して進化したTRPGは4分類すべてを併せ持つ新しい種類の遊びと考えられる.しかも,ルールシステム,シナリオ,さらには参加メンバーの嗜好によって,アゴン・アレア・ミミクリ・イリンクスのどこに重点を置くか異なる.TRPGの要素の一部をストーリー性とゲーム性の観点から仮に図1に二軸プロットする.後述する保田 (2016) の定義を参考に「ロールプレイ」は「役割演技」「役割分担」の2つに分けて示す.1つのセッションやシステムでこれら要素を網羅しているわけではない.没入感については朱鷺田 (1996) がこう述べている.
[1.2] ロールプレイ的な没入感を取り込んだゲームは、RPG以外にも多々あるが、ここまで『ほかのキャラクターを演じる』ことを明確に打ち出したゲームもない。先鋭化したゲームのいくつかではドラマ性を強く主張し、プレイヤーとゲームマスターが協力して、即興劇に近い一本の物語を作っていくのだと主張する (朱鷺田 1996, 106).
[1.3] また,朱鷺田は「古典的なボードゲームの多くが競技性、つまり、技巧を競い合う快感を重視するのに対して、明確な意味での勝敗をルールから排除したRPGは、プレイヤーたちの目的意識を拡散させていった。」と,ゲームの目的がプレイヤーにより異なる点を指摘している (朱鷺田 1996).TRPGシステムがストーリー性とゲーム性で様々に分化し,多様なTRPGシステムがデザインされたことにより,多様なプレイヤーのニーズに対応できる.現代のプレイヤーは個人の好みに合ったTRPGシステムやシナリオを幅広い候補の中から選択できる.しかし,参加者によって多様なプレイが可能なことが魅力である反面,勝敗が曖昧な点はTRPGの弱点と言える.プレイヤーたちの目的意識を収束し,セッション場の共通認識とするために経験点ルールが有効に機能すると考えられる.
[1.4] TRPGのロールプレイにおける没入感を指向した場合に,ゲームデザイナーのデザイン趣旨を3つのパターンに分けることができる.1つめは,ルールで没入感を考慮しない場合.2つめは,ゲームデザイナーが意図していなかったにも関わらず,ゲームマスター(進行を取り仕切る人物、GM)とプレイヤーの運用により没入感を高めるよう機能した場合.そして3番目は,ゲームデザイナーが没入感を高めることを意図してルール設計した場合である.個々のTRPGシステムは複数の状況に関するルールの集合体である.そこで,ルール設計においてロールプレイに良い影響を与える可能性から経験点ルールに着目する.さらに,プレイヤー投票という承認欲求に働きかける「琴線に触れた」功績点を考察する.
[1.5] 本研究では,日本のTRPGにおける代表的なTRPGシステムの経験点ルールの系譜を振り返り,よいロールプレイを促進する経験点ルールがいつ頃からどのように始まったのかを調査する.そのうえで,過去に前例のない新しいルールを採用した『忍術バトルRPG シノビガミ』(以下『シノビガミ』と表記)に着目し,実際の運用に対する調査から,効果について考察する.先行研究が見当たらないことも『シノビガミ』を研究対象に選定した理由である.
[2.1] まずは本研究における「ロールプレイ」を再定義する.ZagalとDeterdingは “Sample Definitions of Role-Play”として異なる7人の意見を紹介し,“they show such a wide and growing diversity of forms and play styles”と多様性を指摘している (Zagal・Deterding 2018, 21).“Many definitions of “role-play” and “role-playing games” have been suggested, but there is no broad consensus.” と広範に適用できる一つの定義がないと総括したうえで,多様性を経験的に説明することを提言している (2018, 47).TRPG実践と言説よりも広い視野で文献調査すると,文化心理学の知見から内田は北米のヨーロッパ系アメリカの文化と日本文化を比較して,さまざまな文化差を説明している (内田 2008).TRPGにおいても規範と実践の文化的相違があることを考慮すると,英語文化圏での意見を日本TRPG研究に適用するには慎重な検討が必要である.しかし,本研究の目的は比較文化的考察ではない.筆者はZagalの提言に従い,一つの定義を追求することに論を費やすのではなく,多様な観点から経験的に説明していく.
[2.2] Hooverらは “Performance” という観点に着目し,演劇の歴史とLARPとTRPGのロールプレイの関係性について説明している (Hoover et al. 2018).後述するように五十嵐と青山 (2022) は身体的演技が必要でない点を指摘しており, “Performance” に対する意見の相違は日本のTRPGと英語圏との違いを示す一例と言えよう.しかし,本研究は文化圏の違いによる意見の相違点を追究することが目的ではない.Hooverを参考にして,筆者は他分野からの着眼点の一つとして演劇を取り上げた.筆者は2024年8月にプロ俳優4人が演じた小劇場演劇を鑑賞した.日常会話をフランス革命期という特殊設定で感情豊かに表現する演技や,セリフを使わない身体表現主体の演技などを見て,音声コミュニケーション主体のTRPGにおける「ロールプレイ」との違いを実感した.演劇を鑑賞して,観客に感動を与えるような俳優の上手い演技と,TRPGでの「よいロールプレイ」は異なる意味を持つと考えた.プロの演出家であり演劇ワークショップを多く手がけてきた蓮行は「コミュニケーション場における演劇的要素」として「役割演技」(ロールプレイ)「表現」「空間」の3つを区別して説明している.ロールプレイにより期待される機能が3つある.日常のロールから離れることで意見表出のリスク回避と,個人の発想外の意見表出の2つ.そして3つめは「楽しさを感じさせる機能」である.ロジェ・カイヨワの遊び要素「ミミクリ」を引用し「根源的な楽しさにつながる」と述べている (蓮行 2019).
[2.3] さまざまな文献があるなかで,日本のTRPGにおける「ロールプレイ」に関しては,日本でプレイ経験があり,文脈を理解している研究者や実践者の意見を検討するのが妥当であると,筆者は判断した.歴史を俯瞰した保田 (2016) ,心理学研究の観点から考察した五十嵐ら (五十嵐・青山 2022) ,そしてゲームデザイナーの立場で啓蒙書を執筆した小太刀 (小太刀 2016) という異なる三者の意見を検討した.TRPGにおける「ロールプレイ」という用語は複数の意味を持つ.保田は下記の通り説明している.
[2.4] ロールプレイングには、二つの意味がある。ひとつは、ウォーゲームの兵種から発展した、戦士や魔法使い、僧侶のクラスによる攻撃・防衛・治療といった行動の役割分担。もうひとつは、ブロンテ姉妹がおもちゃの兵隊を使い、空想の世界の中の登場人物として遊んだような役割演技だ (保田 2016, 47).
[2.5] コンピュータRPGはプレイヤーによるコミュニケーション発話がない点で「役割分担」に特化している.一方で,小太刀 (小太刀 2016) は「なんらかの架空世界におけるPCを演じることがロールプレイだ」と述べており,役割演技を伴わない単なる役割分担を対象外としている.そのうえで「よいロールプレイ」を「みんなで楽しむという目的」に結びつけている (小太刀 2016).ストーリー性を志向したTRPGにおいては「役割演技」の意味で使用されることが多い.したがって,本研究においても「役割演技」と定義する.
[2.6] 五十嵐ら (五十嵐・青山 2022) はコンピュータRPGと比較してTRPGのロールプレイについて5つの特徴を提示している.「(1) PCの設定における自由度が高い」「(2) 時間をかけてPCを作り込むことができる」「(3) 見せるための演技は必要とされない」「(4) 演技以外のコミュニケーション手段がある」「(5) 身体的な演技は必ずしも必要ではない」という5点を提示したうえで「PCを創作するプロセス」に着目している (2022, 60).だが,創作ルールよりも「PCのジェンダー」を研究対象としている.また,五十嵐ら (2022) は「ロールプレイの場における心理的安全性」をコミュニティと結びつけて考察しているが,筆者はコミュニティを限定しないTRPG参加者の共通認識としてルールブックにおけるルール記述に着目した.ルールがプレイヤーのインセンティブを考慮して設計されたと考える.
[2.7] 小太刀 (2016) は「よいロールプレイ」を参加者全員が楽しめることとし,「話の水を向けてやる」「トスを上げる」を重要視している.これは藤林が力量マップでプレイヤー力量の1つに挙げた「〈振り〉はプレイヤーから他のプレイヤーへ発話の機会を誘発することである」と同様の行動である (藤林 2022, 40).マインドセット「ゲームを楽しむ」「積極的な参加」を前提にしていること (藤林 2022) も小太刀 (小太刀 2016) の主張とほぼ同義と言える.本研究においては小太刀 (2016) の「よいロールプレイ」に対する意見を踏襲する.蓮行 (2019) が説明したコミュニケーション場における演劇的要素のロールプレイと同様に,TRPGでも楽しさが根源と考える.
[2.8] ゲーム以外の他分野を調べると,小山内らは「物語世界への没入体験」を「(a) 物語やその読解への注意の集中,(b) その結果としての自己や外的世界に関する意識の減退または消失,(c) 物語世界の鮮明なイメージ化,(d) 物語世界の現実感,(e) 登場人物への同一化または共感,(f) 感情移入」という6種類の下位要素で定義している (小山内・楠見 2013, 463).小山内 (2017) は読書を研究対象としているが,この定義は物語体験全般に適用可能である.TRPGはプレイヤーが自分のキャラクター(PC)を担当し役割演技して主体的に行動することで,読書よりも「登場人物への同一化」「共感」「感情移入」が強いと考えられる.PCを演じることで「物語世界の現実感」を感じる.すなわち,ロールプレイが没入感をもたらすと言えよう.
[3.1] ロールプレイとの関係を見る前に,TRPG初期から1990年代以降に分化・進化した経験点ルールを確認する.50年のTRPGの歴史の中で500種類以上のTRPGが日本で発売されてきた (dewadwa 2022).冒険企画局が活動開始してから37年の歴史を4段組み8ページに渡って年表にしている (冒険企画局 2024).すなわち,数百種類のTRPGシステムを網羅的に調査することは現実的でない.現在は絶版となり入手不可能なTRPGも多い.そこで本研究にあたっては,現在も遊び続けられていること,入手可能性,人気度の観点から日本TRPG文化を代表する3つのクリエイター集団,グループSNE,F.E.A.R.,冒険企画局の代表作を主要な対象として選択した.その他に歴史的に重要と判断した翻訳TRPGを2件追加した.F.E.A.R.以降を分岐点と考え,3章と4章に分けて記載する.
[3.2] 『ダンジョンズ & ドラゴンズ』 (1974; 1985) では入手した財宝の価格と倒したモンスターにより経験点を獲得していた.モンスターよりも財宝に比重を置かれていた.最初期のコンピュータRPG『ウィザードリィ』 (1981) がこのモンスター経験点を採用し,踏襲した『ドラゴンクエスト』 (1986) なども経験点を獲得してレベル上昇する仕組みとなっている.前述の選択理由に該当しないが,ハック&スラッシュ志向の系譜を継ぐ最近の作品という理由から『信長の黒い城』 (2022) を調査した.下記に引用するように,敵を倒すことを目的として,経験点ルールを設計している.「敵ごと」経験点は強さに応じて3点から15点である.
[3.3]
このゲームでは生き残ったり、特定の敵を倒したりしたら、誉れと呼ばれる経験点を得る。
誉れ2点 1回のゲームを生き残った
特定の敵を倒すか,特定条件を満たして撃退する 敵ごと
誉れ3点 琵琶法師の語りに出た「予言の事件」を解決する (朱鷺田 2022, 31).
[3.4] 戦闘より使命達成を重要な目的とした日本製TRPG『ソード・ワールドRPG』 (水野・グループSNE 1989) は「セッションの目的を達成できた」経験点を導入した.目的達成に加えて「魔物を倒す」「自動失敗」という2種類の経験点もあるが,比較的少なく,ボーナス的位置付けである.最新版『ソード・ワールド2.5』 (北沢・グループSNE 2018) でも「自動失敗」が10点から50点に増加したこと以外は同様の経験点ルールを踏襲している.「自動失敗」は失敗から学ぶことがあるという『失敗学』 (畑村 2005) の考え方に通じ,積極的に行動して判定しようという動機付けを仕掛けている.なお,ここでいう「セッションの目的」とは「楽しんだ」等のプレイヤー目的ではなく,依頼されたミッション等のPCの冒険目的である.
[3.5] 一方で『クトゥルフ神話TRPG』 (ピーターセン・フリッカー・メイソン 2019) に経験点ルールは存在しない.しかし,経験点に依存しない成長ルールが存在する.『新クトゥルフ神話TRPG』ルールブックには2種類の成長ルールが記載されている.一つは「経験の報酬:探索者成長フェイズ」である.セッション中に判定成功した技能に成長可能性を与えている.成長につながる仕組みは,さまざまな技能判定を行う動機付けになる.もう一つの成長ルールとして「現在正気度ポイントの増加」がある.ルールとしては,キーパー(GM)が与えない場合を記述している.下記に引用する.
[3.6] このような報酬は、グループが直面した危険に比例したものであるべきだ。しかし、探索者が臆病であったり、非人間的であったり、または殺人を引き起したりしたならば、キーパーは報酬を減らしたり、または取りやめることにしてもよい。モラルの問題を主張したいなら特に考えてみてよいだろう (ピーターセン・フリッカー・メイソン 2019, 163).
[3.7] このルールを読むと,キーパー判断で悪いプレイにペナルティを与えると解釈できる.いわゆる「アメとムチ」のムチに相当する.実際のプレイでは,セッション中に減少した正気度と比較して,セッション後に増加する正気度は少ない.開始前の正気度より低くなることもある.ここでは7版ルールの記述を引用したが,2つの成長ルールは『クトゥルフの呼び声』日本語最初のボックスセットから存在するルールであり,版上げでもアップデートされていない.
[3.8] ここまで見てきたTRPGシステムでは,ロールプレイを積極的に促進するルールを採用していない.敵を倒すことやミッション達成で経験点を獲得していた.
[4.1] ゲームとして勝利条件が曖昧なTRPGの弱点に対して『超時空時代劇RPG 天下繚乱』では「参加者全員ができるだけ多くの経験点を得る」と明記し,さらに「セッションの目的」を「楽しい時間を過ごす」と定義した (小太刀・F.E.A.R. 2021).セッションを楽しむこと,そのために参加者がお互いに助け合うことやプレイヤーのロールプレイを評価して経験点を与える設計思想は『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』 (鈴吹 1995) まで遡ることができる(それ以前のTRPGシステムは筆者の所持するリソースでは調査しきれなかった).アクト中のデータ変動を記入するため「記録シート」を採用し,シートに経験点チェック項目を記載した.経験点ルールを下記に引用する.「キャスト」はプレイヤーキャラクターを,「アクト」はセッションを,「ルーラー」はGMを意味する.
[4.2]■プレイヤーへの経験点
アクト前
・依頼のリプレイやイラストを書いた
アクト中
・ルーラーの裁量で
アクト後
・そのアクトに最後まで参加した
・よいロールプレイをした
・キャストに劇的な活躍をさせた
・そのアクトでほかのプレイヤーを助けた
・ルーラーのストーリー進行を助けた
・記録シートをルーラーに提出した
1アクト終了時の経験値は、最高8点 (鈴吹 1995, 132).
[4.3] 『トーキョーN◎VA』第3版以降は「レコードシート」と名前を変更し,同じ目的の記入用シートを採用し続けている.鈴吹がデザインしたTRPGの他にも『ダブルクロス The 3rd Edition』 (矢野・F.E.A.R. 2009) などF.E.A.R.がプロデュースするTRPGシステムでは,部分的相違があるが,いくつかの変遷を経て同様の経験点ルールと「レコードシート」を採用している.2024年8月時点でF.E.A.R.公式サイトからダウンロード可能な「レコードシート」を調査して「よいロールプレイ」経験点を採用しているTRPGシステムを確認し,1 ゲーム目録の別表1に一覧表を示す.16名のゲームデザイナーによる30種類のTRPGシステムで確認できた.版上げ前の旧版については,筆者がルールブックを確認できた5種類を別表1に記載した(区別をつけるため,旧版を灰色セルとした).一方で,類似の「レコードシート」や経験点ルールを採用していながら,「よいロールプレイ」の言葉がなかったTRPGシステム12種類をゲーム目録の別表2に示す.「すばらしい活躍をした」という項目が見られたが,同義かどうか判断できなかった.別表1と別表2には筆者が体験せず,調査だけで記載したTRPGが合計26種類あることを断っておく.『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』事例から,現在入手困難な各TRPGシステムの旧版を想定すると,「よいロールプレイ」経験点を採用した総数は別表1より多いと推測できる.
[4.4] セッションを楽しむことを目的と意識し,経験点ルールと関連付けてセッション開始前にプレイヤーに提示することで,20年以上に渡り,プレイヤーの目的意識を方向付ける仕組みとなってきた.『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』経験点のなかで「よいロールプレイをした」「キャストに劇的な活躍をさせた」の2つは,積極的なロールプレイを推奨する.「そのアクトでほかのプレイヤーを助けた」はプレイヤー同士お互いに尊重して助け合うことに寄与する.「ルーラーのストーリー進行を助けた」はプレイヤーがルーラー(GM)を手助けしやすいよう誘発する.言い換えれば,セッション場の「心理的安全性」を担保する仕掛けである.筆者がF.E.A.R.主催セッションでゲームデザイナーGMの卓に参加したときは,セッション後にプレイヤーがお互いに良かった点を褒め称えたり,GMが「面白かった,良かった」とプレイヤーに伝えていた.経験にもとづく印象でありエビデンス十分でないが,内向的なプレイヤーに対しても配慮されていると感じた.GMは様々なプレイヤーを公平に評価し,全員が最大の経験点を獲得できるように配慮していた.経験点項目の一つ「依頼のリプレイやイラストを書いた」はシステムによって省略されていることも多いが,セッション単体の体験だけでなく,セッション開始前のイラスト準備やセッション後のリプレイなど,TRPG体験を時系列的に広く捉えていると言えよう.
[4.5] 『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』と比較するため,2020年代に発売されたTRPGシステムの一つ『超時空時代劇RPG 天下繚乱』 (小太刀・F.E.A.R. 2021) を引用する.「宿星」とは名声や金儲けや仇討ちなどPC個人の目的と,ボス敵を倒すPC共通の使命と両方が設定されている.
[4.6]
・セッションに最後まで参加した
・宿星を達成した
・よいロールプレイをした
・他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行なった
・セッションの進行を助けた
・場所の手配、提供、連絡や参加者のスケジュール調整などを行なった
・SNSなどで感想を発信した
・あなた自身が楽しんだ (小太刀・F.E.A.R. 2021, 226).
[4.7] ゲームマスターセクションで「GMはそれぞれのプレイヤーの美点を、具体的な形で褒めるとよい」 (小太刀・F.E.A.R. 2021, 263) と補足説明している.すなわち,積極的にプレイヤー全員を評価することを推奨している.さらに特徴的なのは「あなた自身が楽しんだ」という項目である.全員が楽しむというTRPGセッションの目的を達成できたかを確認している.『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』の「依頼のリプレイやイラストを書いた」 (鈴吹 1995, 132) が「SNSなどで感想を発信した」 (小太刀・F.E.A.R. 2021, 226) と変化したのは時代の変遷の影響だろう.「場所の手配,提供,連絡や参加者のスケジュール調整などを行なった」 (ibid.) がプレイヤー経験点として明記されていることは,場所の手配がGMの役割ではなく,参加者の誰が担当してかまわないと明示している.美園 (2022, 73j) が「プレイスペースを提供し,快適な環境を用意する」をGMの役割の一つに挙げたことと対照的に,プレイヤー経験点に加えることで全員が協力して準備することを推奨している.
[4.8] 「楽しむこと」が目的であると明確にし,経験点ルールに採用したことは,ロールプレイ促進に寄与してきたと考えられる.複数のシステムで類似ルールを採用することは『ソード・ワールドRPG』 (1989) や『クトゥルフ神話TRPG』 (2019) など,版上げに際して旧版の成長ルールを踏襲する例がある.しかし,F.E.A.R.がプロデュースしてきた異なるゲームデザイナーによる30種類以上のシステムで20年以上に渡り類似の経験点ルールを採用していることは,日本のTRPGにおける一つの特長である.アクセスから見ると,GMが積極的に「心理的安全性」を確保し,公平に評価することは,どのようなプレイヤーでも楽しめることに貢献してきた.共通のインセンティブ設計と言えよう.ロールプレイを評価する経験点ルールを採用したTRPGシステムはF.E.A.R.系統以外にもあり,その一つが『シノビガミ』である.
[5.1] 『シノビガミ』は,PC全員が忍者となって情報を調査し,戦闘するTRPGである.冒険企画局のサイコロ・フィクションシリーズの2作目であり,6列11行の特技表形式キャラクターシートや複数のランダム表を使うこと,プレイヤーが公平に参加機会を得るシーン制度などがシリーズ共通の特徴となっている (河嶋・冒険企画局 2012).2 『シノビガミ』に顕著な特徴は,PC同士が対立して戦うことである.公式シナリオ集『忍秘伝・改』 (2014) 収録シナリオ24本のうち,協力型3本,対立型11本,展開次第で協力も対立もあり得る特殊型9本,バトルロイヤル型1本となっている.プレイヤー募集時に協力型・対立型・特殊型の区別をGMが提示し,プレイヤーが同意する (河嶋・冒険企画局 2014).すなわち,対立を嫌うプレイヤーは対立型シナリオに参加しない権利を持つ.従って,プレイヤーは自分のプレイスタイルに合ったシナリオに参加し,自分に合った導入ハンドアウトを選択できる.導入ハンドアウトの他にもプレイヤーが自主的に目的設定できる要素が2つある.基本ルールブック現代編では六大流派と各下位流派27種類と合計33種類の流派が準備されている.さらにシナリオによって,22種類の古流流派を選択できる.サプリメント『流派ブック』シリーズで1冊ごとに下位流派1種類が追加され,プレイヤーが新規作成できる「独自流派作成ルール」も追加された (河嶋・冒険企画局 2022).GMが許可する範囲内で,プレイスタイルに合った流派および流儀をプレイヤーが選択できる.シナリオにより異なるが,一般的なシナリオの場合は推奨流派と対応する下位流派4つ合計5種類から選択できる.GMと相談したうえで,推奨流派以外からも選択できる.ロールプレイ功績点の目安となるキャラクターの「信念」は「凶・律・我・情・忠・和」6種類から選択できる.基本ルールブックで選択可能な流派と信念との組合せが198通りあり,多様なプレイヤーのニーズに対応している.
[5.2] 経験点ルールは「功績点」と呼ばれる.本稿では『シノビガミ』の経験点ルールを示す場合は「功績点」を使用する.まず『シノビガミ』改訂版ルールブックの功績点項目を下記に引用する.「流儀」とはPCが所属する流派(組織)の目的である.
[5.3]功績点がもらえる条件
・流儀の達成 1点
・セッションに最後まで参加した 1点
・ロールプレイ 1点
・プライズの獲得 1点
・琴線に触れた 1点
・使命の達成 3点 (河嶋・冒険企画局 2020, 71).
[5.4] 「琴線に触れた」の説明は「各プレイヤーは、そのセッションでもっとも琴線に触れたキャラクター一人を選び、そのキャラクターに1点の功績点を与えることができる。ただし、自分を選ぶことはできない。誰も選ばないことは可能である。」と書かれている (2020, 71).各プレイヤーが他のプレイヤーへ投票する『シノビガミ』独自のルールと言える.判断基準を示すルールは存在せず,GMの意思とも無関係に,プレイヤー個人の主観で1人だけに投票できる.視点を変えれば,プレイヤーの承認欲求に働きかけ,投票されることを意識する仕組みである.セッション卓によっては,投票の理由を聞いて互いの肯定的な感想を語り合う場を作る良いきっかけにもなる.
[5.5] 「琴線に触れた」功績点ルールは1冊目『現代忍術バトルRPG シノビガミ-忍神-』 (河嶋・冒険企画局 2009b) に存在せず,2冊目『シノビガミリプレイ シノビガミ弐 刃魔激突』 (河嶋・冒険企画局 2009a) で採用された追加ルールであった.B5判型「基本ルールブック」 (河嶋・冒険企画局 2012) に正式ルールとして収録されて,プレイヤーに浸透した.この功績点ルールは,河嶋がゲームデザインした『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』 (河嶋・冒険企画局 2013) 『魔道書大戦RPG マギカロギア』 (河嶋・冒険企画局 2017) でも採用され,プレイヤー間で相互投票している.
[6.1] 筆者は独立研究者であり,所属する研究組織や倫理審査機関を有しない.筆者自身の倫理規範に基づき,本研究に際して,意見やデータから個人を特定できないよう倫理的配慮を行った.インタビューを実施した2件のセッションは,研究目的に使用することを口頭説明して同意確認した.2022年当時にセッション協力していただいたTRPGサークルの会長に研究趣旨を説明し,研究目的に使用することを同意確認した.『RPG研究』編集部に連絡し,所属組織の代わりにサークル会長で可と判断していただいた.
[6.2] 実際のセッションで「琴線に触れた」功績点がどのように遊ばれているか調査するため,ツイッターで2回のアンケート調査を行った.1回目は「琴線に触れた」理由について質問し,2022年11月24日から12月1日の期間に162件の回答があった.結果を図2の円グラフに示す.
[6.3]
【プレイヤー向けアンケート】「プレイ経験者にアンケート協力お願いします.『クトゥルフ神話TRPG』等にないシノビガミの魅力として,功績点の意義とゲーム没入感について調査しています.「琴線に触れた」功績点を与える相手をどういう基準で選んでいますか?」
(1) 物語の視点(使命達成に活躍した等)
(2) キャラクター視点(自分PCと感情を結んだ等)
(3) プレイヤー視点(上手いロールプレイに感心した等)
(4) メタ的な視点(セッション進行に協力した等)
[6.4]
アンケート実施前は「キャラクター視点」が多いと予測していたが,8.6%と少数派であった.最多回答は「プレイヤー視点」で58.6%を占めていた.上手いロールプレイが個人の楽しみとなるだけでなく,他プレイヤーからも評価されると言える.アンケートに対して下記のコメントがあった.
•
基準らしい基準は割とばらばらで,絡んで楽しかったが最大基準になる.
•
単純になんかの要素で強く印象に残った人を選んでる.だから選んだ理由は構成が好き,ロールプレイが好きとか卓ごとに変わる.
• 琴線は自分が多く関わった人にあげる.
•
プレイヤー視点(ロールプレイが上手かった,構成が見事だった等)とPC視点(一番そのキャラと関わった)とを気分で使い分けてますね.
•
ロールプレイの内容とかキャラで決めると大抵全員同じくらい好きだから決められなくて,要所での出目とか印象に残る出来事で決めることが多い.
• 協力型,対立型,特殊型で違ってくる.
•
「琴線票が集まりそうにない人」に入れる時が結構ある(やっぱりみんな,褒められて終わりたいと思うので).
[6.5] アンケート調査とは異なる母集団として,2022年に筆者が参加したTRPGサークル内セッション2件の事例を示す.セッション1は,筆者がプレイヤー参加した協力型シナリオである.対立を苦手と言う『シノビガミ』初心者も参加した.シーンごとに感情ロールプレイを挟みながら情報を収集し,協力して真相究明を進めていった.クライマックス戦闘では,PCの1人が敵2体にトドメを刺す活躍を見せた.琴線の理由を聞くと,PC間の協力関係「いろいろお世話になった.感情の忘却に関するプレイもよかった」や戦闘での活躍「2人倒したのが凄い」という意見があった.セッション2は,筆者がGMを担当した対立型シナリオである.対立することを事前に説明し,同意したプレイヤーが参加している.クライマックス戦闘は,PC同士の激しい戦いとなった.最も印象的だった「相打ちになって凄かった」に投票があった.終始一貫して生き延びることに執着したロールプレイにも投票があった.
[6.6]
セッション事例で聞き取った意見から属人性をなるべく削除し,一般化した投票基準を下記にあげる.
• 同じくらいで迷うときは,初心者や経験の浅いプレイヤーを選ぶ.
• 情報判定などでクールなキャラを演じて活躍した.
• 経験者が集まった卓では,演出やロールプレイ.
• 慣れていない人は,助けてくれた.
• 所属する流派に合ったロールプレイ.
• 派手に戦闘で活躍した.
• 個人的に印象に残ったかどうか.活躍よりも自分目線.
[6.7] 調査の結果,一律の投票基準や法則を見出せなかった.投票基準はプレイヤーによって異なる.同じプレイヤーでも,シナリオや卓メンバーなど状況によって異なる.それでも,いくつかパターン分けを試みる.健闘したロールプレイで心を震わせた,データ構築などがうまい,見事に敵を討ち取ったなど戦闘でめざましい活躍をした,自分のPCと積極的に交流した,特に印象に残ったロールプレイがあったなど.言い換えると,ロールプレイ,データ構築,戦闘で活躍,キャラの交流,印象の強さ,という5条件である.
[6.8] 次に,プレイヤー視点でなくGM視点で「琴線に触れた」功績点をどう扱うかをアンケート調査した.ルールブックに明記されていないが,GMから「琴線に触れた」功績点を与えることを禁止されていない.筆者のセッション参加経験からすると,半数くらいの卓でGMが与えた印象がある.そこで次のアンケート調査を行った.2022年12月1日から12月8日の期間に67件の回答があった.結果を図3の円グラフに示す.
[6.9]
【GM向けアンケート】「GM経験者に質問です.ローカルルールで,GMが「琴線に触れた」功績点を与えるセッションを経験したことがあります.皆さんがGMしたとき,琴線の功績点を与えたことはありますか?」
(1) 1人のキャラクターに与えたことがある
(2) キャラクター全員に与えたことがある
(3) 状況により異なる,1人または全員に与えた
(4) GMの立場で与えたことはない
[6.10] 「GMの立場で与えたことはない」が20.9%である.逆に言えば,残り約8割のGMが「琴線に触れた」キャラクターに対して功績点を与えたことがある.功績点の対象は「1人のキャラクター」が20.9%,「キャラクター全員」が38.8%,「1人または全員に与えた」が19.4%となった.公平に「全員に与えた」が多数派だった.セッションにより様々な状況が考えられる.筆者がGMしたときはMVP(Most Valuable Player)を選ぶような気持ちで1人のキャラクターに与えたことがある.与えないときもある.2022年5月のTRPGフェスティバルオンラインでゲームデザイナーの河嶋がGMした卓に参加したときは,特定1人のPCに1点与えていた.ただし,ゲームデザイナーがGMした1回のセッションで適用したからと言って,公式ルールではないと断っておく.このGM向けアンケート結果から,GMもよいロールプレイを評価して「琴線に触れた」ときに功績点を与えたくなると判明した.
[7.1] アンケート調査とは別に,実際の投票傾向に違いが見られるのか,筆者が参加したセッション記録を調べた.調査対象はアンケート調査と異なる母集団であるTRPGサークル内で,2020年9月から2023年2月の期間で功績点配布を確認できたセッション22回である.全てDiscordとココフォリアを併用した音声チャットによるオンラインセッションである(新型コロナウィルスの影響により,対面でのセッション実施が困難だった.意図的にオフラインセッションを排除したわけではないことを断っておく).3 調査対象からキャンペーンを除外した.前回までの印象や累積功績点がバイアスとなる可能性を排除するためである.まずは4人シナリオ20回を対象に,各プレイヤーが何票獲得したか,投票の集中とバラツキを確認した.4人シナリオの場合の得点パターンは表1に示す4通りである.
表1.「琴線に触れた」功績点の投票パターン | |||||
パターン | プレイヤーが獲得した功績点 | 頻度 | |||
W | X | Y | Z | ||
3100型 | 3 | 1 | 0 | 0 | 4回(20%) |
2200型 | 2 | 2 | 0 | 0 | 5回(25%) |
2110型 | 2 | 1 | 1 | 0 | 11回(55%) |
1111型 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0回(0%) |
[7.2] 図4の円グラフに示す通り,最も頻度が高かったのは票がばらける「2110型」で11回(55%)あった.2人が2票ずつ獲得する「2200型」は5回(25%)であった.1人に3票が集中する「3100型」は4回(20%)であった.全員が平等に1票ずつ獲得する「1111型」は一度もなかった.
[7.3] すなわち,各セッションにおいて「琴線に触れた」と評価されないプレイヤーが1人か2人存在したことになる.それでは,各セッションにおいて「琴線に触れた」功績点を獲得しないプレイヤーZに傾向はあるのだろうか.得票傾向とプレイヤーのロールプレイに関係はあるのだろうか.記録22回分のセッションに参加した合計25名のプレイヤーのうち,5回以上参加したプレイヤー7名の傾向を図5に示す.なお,プレイヤーW, X, Y, Z とプレイヤーA, B, C, D, E, F, G に相関関係はない.
[7.4] 最も低いプレイヤーGは琴線獲得回数/セッション参加回数の比率が約40%であった.ほか3人のプレイヤーが50%から60%であった.プレイヤーAは約70%であった.プレイヤーBとプレイヤーDは100%,すなわち参加セッション全てで他人の「琴線に触れた」功績点を獲得していた.このセッション記録は筆者がGMした卓とプレイヤー参加した卓に限定されているが,もっと広範囲に多数のセッション卓を観測すれば2種類に収束していくのではないかと考えられる.いつもロールプレイがうまいプレイヤーは約8割の頻度で琴線を獲得し,ロールプレイ意識がそう高くない場合は約5割と言う仮説を考える.経験に基づき,セッションの記憶を振り返って,功績点を獲得した理由を考察する.プレイヤーBやプレイヤーDはロールプレイがうまく,データ構成も優れていて,他プレイヤーへの気配りもあった.それが毎回のセッションで他プレイヤーの「琴線に触れた」理由であろう.一方で,約5割だったプレイヤーは,勝負に強くこだわってロールプレイを重視しなかったり,他人の心を動かすようなロールプレイでなかったりしたときなどに投票されなかった印象がある.いつもそうではなく,ロールプレイがうまいときや,印象的な活躍を見せたときは「琴線に触れた」功績点を獲得することがあるため複数回セッションを見て平均していけば約5割と言える.この「琴線に触れた」功績点ルールは,プレイヤーが他人の評価を意識して「よいロールプレイ」の動機付けとなり,没入感を高める仕掛けとして機能していると考える.
[8.1] 『シノビガミ』のデザイン思想はルールブックで繰り返し説明されている.カラーページ「感情と秘密が織りなす忍者たちのドラマ」には「戦いに勝つことだけではなく、勝負の先にあるドラマこそ、『シノビガミ』の本当のおもしろさと言えるだろう。」とあり,ルール説明の冒頭「基本規則」で「勝負にこだわりすぎると、『シノビガミ』の楽しさは損なわれる可能性があります。『シノビガミ』では、勝者だけでなく、敗者の物語を体験し、楽しむこともできるのです。」と記述している (河嶋・冒険企画局 2020, 52).文章で説明するだけでなく,功績点ルールに「琴線に触れた」を採用することで敗者のドラマを再現可能としている.いわば,先人が作った忍者物語を受け継いでいる.
[8.2] 例えば忍者小説の金字塔『甲賀忍法帖』では章タイトル「甲賀ロミオと伊賀ジュリエット」に象徴されるように,対立する伊賀と甲賀の悲恋と10人対10人の過酷な忍法勝負が描かれている (山田 1959).40年以上の時を経て『バジリスク ~甲賀忍法帖~』 (せがわ 2003) として漫画化され,アニメ化された人気作品である.ドラマ性と異能力バトルの絶妙なバランスが多数の鑑賞者の心を震わせてきた.
[8.3] 『忍秘伝・改』で対立型シナリオが多いように,PC全員が使命を達成できるわけではない.使命を失敗しても,もしも参加プレイヤー4人のうち自分以外の3人から「琴線に触れた」を獲得すれば「使命の達成」(3点)と同等の功績があったと言える.使命達成よりも敗者のドラマをロールプレイして感動を選ぶという選択肢を提示している.
[8.4] 「琴線に触れた」功績点に対する投票はプレイヤー個人の主観によるため,GMにも他のプレイヤーにも制御不可能である.そのため,功績点を受け取ったプレイヤーは「良かった」という感想を持ち,次のセッションでも功績点を獲得できるロールプレイをしようと思うだろう.「琴線に触れた」投票を獲得しなかったプレイヤーは,「惜しかった,悔しかった」という感想を持ち,次回のセッションでは他人の「琴線に触れた」ロールプレイをできるように成りたいと思うだろう.『シノビガミ』において,ロールプレイの楽しさ向上や,リピートユーザー獲得に貢献していると考えられる.6章で示した2回のアンケート調査で,2週間や1週間の短い期間に協力された回答者229名もリピートユーザーだと推測している.
[8.5] 日本で発売された数百種類のTRPGシステムの中でゲームデザイナーによるサポートが継続しているシステムは少数である.山本 (2021) はリプレイ動画投稿件数を人気の指標としたが,ユーザー側から観測可能な別の指標として継続サポート有無がある.『シノビガミ』は10周年の機会に改訂版ルールブックが発売された.2021年12月から2023年にかけてサプリメント『流派ブック』 (2022; 2023b; 2023a) が6冊発売されるなど,年月を経てもサポートが継続し,人気が続いているシステムである.2020年には英語版も発売された (Kawashima・Bouken 2020).冒険企画局によると『シノビガミ』は韓国でも遊ばれており,『流派ブック』も翻訳された (冒険企画局 2024).2023年のイエローサブマリンTRPGの販売数ランキング「全店共通の集計」 (イエローサブマリン秋葉原RPGショップ 2024) によると,1位に『シノビガミ 流派ブック 隠忍の血統』,2位に『シノビガミ 流派ブック斜歯忍軍』がランク入りしている.「日本のオンラインコミュニティで最も人気のTRPGである」 (山本 2021, 24j) と言われる『クトゥルフ神話TRPG』や他のTRPGシステムより上位であった.『忍術バトルRPG シノビガミ 基本ルールブック改訂版』 (2020) も15位にランク入りし,2022年発売の『シノビガミ 流派ブック ハグレモノ』 (2022) も26位であり,多数のTRPGシステムが販売されている中で人気が高い.イエローサブマリンは日本国内にゲーム専門店を12店,ゲームとホビーを取扱う総合店を12店有し,通信販売も行っているTRPG販売の最大手である.通常なら内部関係者しか知り得ない販売実績を公表している点で,販売数ランキングはTRPG人気度を測る貴重な客観的データと言える.他のTRPGを確認すると,TOP 10に入っているTRPGシステムは『シノビガミ』の他に,『ダンジョンズ & ドラゴンズ』 (1985) ,『ソード・ワールド2.5』 (2018) ,『ダブルクロス The 3rd Edition』 (2009) ,『新クトゥルフ神話TRPG』 (2019) の4種類である.4種類とも初版発売から20年以上遊び続けられている,いわば定番TRPGシステムと言える.TOP 30への複数製品ランク入りを見ると,『ソード・ワールド2.5』7件,『ダンジョンズ & ドラゴンズ』6件,『ダブルクロス The 3rd Edition』6件,『シノビガミ』4件である.発売15周年の『シノビガミ』も定番の仲間入りしたと言えよう.「琴線に触れた」功績点など,従来にない斬新なルールを採用して幅広く受け入れられたことの効果があったと考えられる.また,ランキングデータから,人気に基づき選択した3章の調査対象が妥当であったことも確認できた.『ダブルクロス The 3rd Edition』は4章で調査したF.E.A.R.プロデュースの最も人気が高い作品と位置付けられると考える.
[8.6] 冒険企画局デザインによるTRPGの他に相互投票によるインセンティブ設計を導入したTRPGシステムは見当たらない.しかし,TRPG以外のゲームに視野を広げると,知的書評合戦ビブリオバトルがある.「ビブリオバトルは,誰でも開催できる本の紹介コミュニケーションゲーム」である.4 普及状況データを公表していること,100件以上の文献があることから,そのうちゲーム性に言及した2件を参考文献とし,『シノビガミ』との比較対象とする.大学の研究室の中で始まった取り組みが「手軽さとゲームとしての楽しさ、そしてその機能の魅力が相まって、2010年代に全国的に普及していった。」 (谷口・石川 2021, 19).谷口はゲーム的な仕組みをこう説明している.
[8.7] 参加とそこで勝つための努力というダイナミクスはゲームというメディアの持つ特徴である.フットサルのようなスポーツ(ゲーム)に得点や勝ち負けが無ければ,参加者は楽しんで遊ぶ事は出来ず,勝ちたいために練習が促進されることもない.過度にならない程度にある種の勝敗が導入されることで,承認欲求を核としたインセンティブが働くことになる.同様の事がビブリオバトルにも言える (谷口 2010, 112).
[8.8] ビブリオバトル普及委員会事務局調べによると,2010年に始まったビブリオバトル首都決戦の予選参加者数は53名.全国大学ビブリオバトルに名称変更した2014年の予選参加者数は874名.2018年以降は約1,500名で推移している.5 これは大学生の全国大会参加者人数であり,子供から大人まで含めた日本全国の参加者総数は計り知れない.もちろん,ビブリオバトル普及と『シノビガミ』人気に直接の相関関係はない.ゲーム性はビブリオバトル普及要因の一つでしかない.しかし,参加機会の公平性と相互投票によるインセンティブ設計という同様のメカニズム設計を仕組み化している点で,他のゲームの普及事例として参考にできる.
[9.1] 本研究ではロールプレイを経験点で評価する仕組みや,プレイヤー間の投票で承認欲求に働きかける仕組みを調査し,よいロールプレイを促進する効果があると結論づけた.F.E.A.R.や冒険企画局が『ダンジョンズ & ドラゴンズ』 (1985) ,『クトゥルフ神話TRPG』 (2019) などの翻訳TRPGや『ソード・ワールドRPG』 (1989) など先行の日本製TRPGと別の魅力として「よいロールプレイ」を誘発する仕組みをデザインして導入した結果,新たな定番になってきたことが判明した.経験点ルールに対して,鈴木は下記の問題提起をしていた.
[9.2] 多くのゲームは全員に同じ経験点を与えている。同じ経験をしたのだから、同じ経験点をという考えは分かる。しかし、ミッションの達成により多く寄与したプレイヤーと、そうでないプレイヤーがいるのも、これまた事実である。みんながそれぞれのロールを活かしてミッションを達成するというのは、TRPGの理想だろうが、その理想を追求するあまり(あるいは、理想をいいことにして)、プレイヤーの評価がなおざりになっているのではないか (鈴木 2007, 171).
[9.3] 鈴木の問いかけに対して『シノビガミ』功績点ルールは一つの回答と言える.対立型シナリオを導入したことでプレイヤーの使命達成/失敗が明確に分かれる点,「琴線に触れた」功績点をプレイヤー間の投票で決める点で,プレイヤーが納得できる形で不均等なルールを成立させている.そして,功績点の獲得がどのような結果になっても「また遊びたい」という感情を持たせることに成功したと言える.
[9.4] 本研究ではセッション後の経験点とロールプレイの関係を対象としたが,『天羅万象』 (1997) ,『異界戦記カオスフレア』 (2005) ,『異世界転生RPG サンサーラ・バラッド』 (2019) などセッション中のロールプレイを支援するシステムが存在する.よいロールプレイを評価してチット等を配布し,プレイヤーのリソースとして使用する.セッション後の振り返りを主体とする経験点ルールと比較して,セッション中でのロールプレイ支援システムの効果はどうであろうか.経験点ルールもロールプレイ支援システムも1990年代以降のゲームデザイナーの経験ノウハウにより仕組み化されており,量的研究はなされていない.
[9.5] また,ロールプレイと没入感の相関関係について検証できていない.ロールプレイは没入感をどれくらい高めるのか,仕組みのない他システムと比較してロールプレイや楽しさに差があるのか,セッションのトラブルを回避する効果はあるのか,など未調査の疑問点が課題として残る.没入体験の調査手法としては,読書体験に対する質問紙調査 (小山内 2017) やビデオゲームに対する質問紙調査 (山本晃輔.・曽我・Menant 2021) の尺度研究が行われている.脳波による感性計測という手法が研究されている (満倉 2020).TRPGを対象とした同様の手法開発という可能性もある.仮に質問紙調査を準備できた場合にはビデオゲームや読書と異なり,TRPGセッションの非再現性が不確定因子となる.同じシステム,同じシナリオを遊んでもTRPGセッションは,参加者やサイコロ出目によって展開が異なり,体験が異なる.近似条件での量的調査が可能かどうか課題である.
[9.6] 筆者はTRPG研究の目的が調査研究だけではなく,TRPGセッション場にフィードバックして,体験品質すなわち楽しい体験を向上させるためにあると考えている.TRPGセッション場における心理的安全性を構築するためや,ロールプレイ評価のために『クトゥルフ神話TRPG』 (2019) など他のシステムにおいても「楽しんだこと」「他人を助けたこと」などを評価する経験点ローカルルールを取り入れてもいいだろう.図1に示したようにTRPGの要素や楽しむ目的は様々であり,セッションに参加するプレイヤーの目的意識をすりあわせるため,「よいロールプレイ」を評価する経験点ルールを採用したTRPGシステムは有効であると結論する.
一緒に『シノビガミ』セッションを楽しんだ全てのGMとプレイヤーに感謝します.アンケートに協力いただいた229名に感謝します.そして,投稿前に原稿を読んで助言いただいた松岡伊織氏,苅安碧氏,山本紘輝氏に感謝します.
F.E.A.R.公式サイト: https://www.fear.co.jp/ (2024年10月10日取得).↩︎
『シノビガミ』では、物語の場面のようにシーンを区切る。手番プレイヤーをシーンプレイヤーと呼び、シーンプレイヤーは1回ずつ主要な行動を行う。シーンプレイヤーは登場するキャラクターや物語の描写にも主導権を持つ。↩︎
Discordは,ゲーマーがよく利用するコミュニティ・サーバーを提供している:https://discord.com/ (2024年10月10日取得).ココフォリアは、TRPGだけでなく,ボードゲームやカードゲームのための仮想卓上ツール(VTT)である: https://ccfolia.com/ (2024年10月10日取得).↩︎
知的書評合戦ビブリオバトル: https://www.bibliobattle.jp/ (2024年10月10日取得).↩︎
知的書評合戦ビブリオバトル「普及状況(データ)」: https://www.bibliobattle.jp/data (2024年10月10日取得).↩︎
別表1. F.E.A.R.「よいロールプレイ」経験点採用ゲーム目録(デザイナー五十音順) | |||||
No. | デザイナー | 発売年 | TRPGシステム名 | 発行(発売元) | 実体験 |
1 | 銅大/F.E.A.R. | 2014 | エイジ・オブ・ギャラクシー | 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ | 無し |
2 | 井上純一+菊池たけし/F.E.A.R. | 2006 | アルシャードガイアRPG | 株式会社エンターブレイン | あり |
3 | 井上純一+菊池たけし/F.E.A.R. | 2012 | アルシャードセイヴァーRPG | 株式会社エンターブレイン | あり |
4 | 井上純弌・重信康/F.E.A.R. | 2010 | ビーストバインドトリニティ | 株式会社エンターブレイン | あり |
5 | 遠藤卓司/監修:トミーウォーカー | 2015 | サイキックハーツRPG The 2nd Edition | 富士見書房 | 無し |
6 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2010 | 世界樹の迷宮SRS | 株式会社エンターブレイン | 無し |
7 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2016 | バトルガールプロデュースRPG エースキラージーン | 株式会社KADOKAWA | 無し |
8 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2019 | 日常ホラーRPG スクリームハイスクール | 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ | 無し |
9 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2019 | Sci-FiミステリーRPG トワイライトハイスクール | 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ | 無し |
10 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2020 | 転生サバイバルRPG ルーインブレイカーズ | 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ | 無し |
11 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2022 | カレコレTRPG | 株式会社KADOKAWA | 無し |
12 | 遠藤 卓司/F.E.A.R. | 2023 | ルートZERO ―アウトロー脱出RPG― | 新紀元社 | 無し |
13 | 長田崇/F.E.A.R. | 2008 | 神曲奏界ポリフォニカRPG | ソフトバンク クリエイティブ | 無し |
14 | からすば晴/F.E.A.R. | 2016 | 英雄武装RPG コード:レイヤード | 新紀元社 | あり |
15 | 菊池たけし/F.E.A.R. | 2008 | セブン=フォートレス メビウス | 株式会社エンターブレイン | 無し |
16 | 菊池たけし/F.E.A.R. | 2014 | ナイトウィザード The 3rd Edition | 株式会社KADOKAWAエンターブレインBC | 無し |
17 | 菊池たけし/F.E.A.R. | 2016 | アリアンロッドRPG 2E 改訂版 | 株式会社KADOKAWA | あり |
18 | 久保田悠羅/F.E.A.R | 2009 | まじしゃんず・あかでみいRPG | 株式会社エンターブレイン | 無し |
19 | 久保田悠羅/F.E.A.R | 2013 | ドラゴンアームズ改 バハムートライジング | 株式会社エンターブレイン | あり |
20 | 久保田悠羅/F.E.A.R | 2015 | バディアクションRPG ガーデンオーダー | 株式会社KADOKAWA | あり |
21 | 小太刀右京(チーム・バレルロール)/F.E.A.R. | 2018 | フルメタル・パニック! RPG 完全版 | 株式会社KADOKAWA | 無し |
22 | 三枝チャージ/F.E.A.R. | 2017 | チェンジアクションRPG マージナルヒーローズ | 株式会社KADOKAWA | 無し |
23 | すがのたすく/F.E.A.R. | 2024 | モノトーンミュージアムRPG 改訂版 - mensural - | 株式会社KADOKAWA | 無し |
24 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 1998 | トーキョーN◎VA The Revolution | 株式会社アスペクト | あり |
25 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 1999 | ブレイド・オブ・アルカナ | 株式会社アスペクト | あり |
26 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 2013 | トーキョーN◎VA THE AXLERATION | 株式会社エンターブレイン | あり |
27 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 2018 | トーキョー・ナイトメア | 株式会社KADOKAWA | あり |
28 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 2023 | ブレイド・オブ・アルカナ ─聖痕英雄譚RPG─ | 新紀元社 | あり |
29 | 田中信二/F.E.A.R. | 2024 | 悪役令嬢レベル99TRPG | 株式会社KADOKAWA | 無し |
30 | F.E.A.R. | 2019 | この素晴らしい世界に祝福を!TRPG | 株式会社KADOKAWA | 無し |
31 | 藤田史人・林啓太/F.E.A.R. | 2013 | メタリックガーディアンRPG | 富士見書房 | 無し |
32 | 三輪清宗/F.E.A.R. | 2007 | 風の聖痕[ステイグマ] RPG | 富士見書房 | 無し |
33 | 矢野俊策 | 2001 | ダブルクロス | 有限会社ゲーム・フィールド | あり |
34 | 矢野俊策/F.E.A.R. | 2003 | ダブルクロス The 2nd Edition | 富士見書房 | あり |
35 | 矢野俊策/F.E.A.R. | 2009 | ダブルクロス The 3rd Edition | 株式会社KADOKAWA 富士見書房 | あり |
F.E.A.R.公式サイトから入手可能なレコードシートを確認し、経験点ルールに「よいロールプレイ」項目を採用しているTRPGの一覧を作成した。 | |||||
灰色セルは、公式サイトにない旧版である。筆者の個人的所有ルールブックで「よいロールプレイ」経験点の採用を確認した。 |
別表2. F.E.A.R.「レコードシート」経験点に「よいロールプレイ」項目がないゲーム(デザイナー五十音順) | |||||
No. | デザイナー | 発売年 | TRPGシステム名 | 発行(発売元) | 実体験 |
1 | 銅大 | 2004 | スターレジェンド | 株式会社エンターブレイン | 無し |
2 | 井上純弌/F.E.A.R. | 2007 | 天羅WAR | 株式会社エンターブレイン | あり |
3 | 井上純弌/F.E.A.R. | 2009 | エンゼルギア天使大戦TRPG The 2nd Edition | 株式会社エンターブレイン | あり |
4 | 小浜智/F.E.A.R. | 2003 | アフターホロコースト・ファンタジーRPG ニルヴァーナ | 有限会社ゲーム・フィールド | あり |
5 | 鈴吹太郎/F.E.A.R. | 2003 | トーキョーN◎VA The Detonation | 株式会社エンターブレイン | あり |
6 | 高平鳴海/F.E.A.R. | 2008 | メタルヘッドエクストリーム | 新紀元社 | 無し |
7 | 七夕ドグラ/F.E.A.R. | 2020 | アニマアニムス | 株式会社KADOKAWA | 無し |
8 | 丹藤武敏/F.E.A.R. | 2020 | 格闘アクションRPG 拳禅無双 | 有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ | 無し |
9 | 千葉直貴/F.E.A.R. | 2009 | ガンメタル・ブレイズ | 株式会社エンターブレイン | 無し |
10 | 平野和盛/F.E.A.R. | 2010 | 異能使い 第二式 | 株式会社エンターブレイン | 無し |
11 | 三輪清宗・小太刀右京 | 2008 | 異界戦記カオスフレア・セカンドチャプター | 新紀元社 | あり |
12 | 三輪清宗 | 2008 | トリニティ×ヴィーナスSRS | ジャイブ株式会社 | あり |
F.E.A.R.公式サイトから入手可能なレコードシートを確認した。類似の経験点ルールに採用していながら、「よいロールプレイ」項目がないTRPGの一覧を作成した。 | |||||
灰色セルは、公式サイトにない旧版である。筆者の個人的所有ルールブックで経験点ルールを確認した。 | |||||